

JR京都駅ビル東ゾーンの2階に「がんこ」はある。大階段のある西ゾーンのダイナミック な空間に対し、ここは京都劇場の入り口ということもあり、静かで大人の雰囲気が漂 っている。
JRへの出展は新大阪店に続き2店舗目である。鰻の寝床のような新大阪店と は新大阪店とは対照的にここは天井高6~8mもある大きな空間で、入り口を除き、周囲 がすべて耐火壁で覆われた閉鎖的な空間となっている。
必要な客席数を確保するには 、3階部分を増床することが不可欠であったが、床をつくりそして内装を施すのではな く、大きな空間を“外”に見立てその中に建築するという手法をとった。暗闇に置か れたあんどんのような二つのシャフト。列柱のあるテーブル座席を大きな空間に“入 れ子”のように注意深く挿入していき、スケール感そして奥行き感のある空間をつく ろうと思った。二つの大きなあんどんはいろいろな角度から見ることができ、店内全 体にあってシンボル的な役割を果たしている。今回はアプローチの土塀、路地、そして水や石といった伝統的な伝統的な日本の要素をモチーフとして用いているが、京都という地域性は特に意識せず、あくまでもモダンに表現したつもりである。
囲われた大きな虚構の空間の中で光と闇、内と外、静的な空間とダイナミックな空間との関係において、対峠あるいは融合によって生まれる緊張感のある空間を求めた。巨大な複合商業施設内ということで、多くの関係者との協力でできた思い出深い作品である。
工事種別 | 内装のみ 全面改装 |
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床面積 | 2階443.75m2 3階288.74m2 合計732.49m2(うち厨房169.66m2) |
工期 | 2003年2月23日~5月23日 |
施工協力 | 空調・給排水衛生設備/協立 電気設備/常盤電気 厨房設備/坂本商事 照明器具/マックスレイ 音響設備/大阪有線 家具/木曽アルテック社 左官/岡田建工 |
主な仕上げ材料
庇 | 2階/待合・深草叩き仕上げ アプローチ・クルミ板張りワトコオイル カウンター席、客席A、B・竹集成フローリング張り 3階/カウンター席・赤松フローリング張りワトコオイル テーブル席・緑なし畳敷き |
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壁 | 客席/PB下地樹脂系薄塗り(マジックコート/フッコー) ■箔塗り 一部AEP アプローチ/モルタルの上中塗り土長スサ入り版築風仕上げ 光り柱/スチールフレーム下地越前手漉き和紙貼り |
柱 | スチールフレーム下地越前手漉き和紙貼り |
天井:客席 | PBt12下地■箔塗り 一部AEP カウンター席/マジックコート塗り 天蓋/不燃ボード下地インクジェット印刷張り |
家具 | テーブル/天板・クルミ材t40ワトコオイル レジカウンター/ラスモルタル下地テラゾー刷毛引きトップ・磨き仕上げ |