


ビルの屋上階にあって四方すべてから大阪市内が見渡せる眺望の良い日本料理屋である。大川沿いの桜並木、それに続く中之島一帯が眼下に見渡せ、さらに手に取るように大阪城と対面して大阪市内が広がっている。夜ともなると大阪城がライトアップされ、市内の夜景が美しい。この景色をインテリアに取り入れ、そしてそれをどう表現するかが今回のテーマであった。
正方形のプランであるが、中央部がビルのエレベーター機械室となっていて、残った窓側部分が店舗、いわゆるドーナツ状のプランである。必然的に動線は回廊式となり、回遊式庭園ではないが、空間全体を“庭”に見立て客席を配している。桜並木の見える客席には桜吹雪をイメージした和紙貼りの光り壁、城壁をモダンに表現した通路の石紙といった具合に、その場から見える景色を比喩的に捉え表現することで、その場が持つ特性を高めている。また回遊することで変化する空間、そして人の気配や漂う空気感を大切にし、デザインしたつもりである。
設計当初、オーナーから提示されたコンセプトは“秀吉と利休”であった。それを、大胆さ、力強さや象徴性、精神性として捉え、緊張感のある空間を求めた。そしてバリエーションに富んだ客席、それらをさまざまな素材を用い対比させながら整合性のある空間を求めた。
工事種別 | 内装のみ 新築 |
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床面積 | 21階198.34m2(うち厨房79.9m2) 22階727.27m2(うち厨房125.7m2) 合計925.61m2 |
工期 | 2003年9月2日~10月18日 |
施工協力 | 空調設備/三菱重工近畿販売 電気設備/サン・アルファ 給排水衛生設備/タニヒコ 厨房設備/フジマック 照明器具/ウシオスペックス 音響設備/有線ブロードネットワークス 家具/テーブル・木曽アルテック イス・アルクインターナショナル その他/越前手漉き和紙・長田製紙所 庵治石・和泉屋石材店 籐編み天井・籐堂商店 木材・木曽アルテック |
主な仕上げ材料
床 | 木軸組みコンパネt12下地恵那錆石ビシャン仕上げ クルミ板t30貼りワトコオイル仕上げ 錆鉄板t3貼りウレタン塗装 越前手漉き和紙挟み込み強化ガラスt12+ポリカーボネート(レキサンシート/旭硝子)t10 |
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壁 | PBt12下地塗装塗り 庵治石パターン貼り 栗板t12手斧加工ウッドワックス仕上げ 越前手漉き和紙貼り透明アクリルt5 女竹φ21格子 |
天井 | PBt12下地サラシ竹φ30貼り パネル(籐乱編みパネル・籐編み込みパネル/籐堂商店)貼り 口クタ和紙貼り |
家具 | カウンター/ブビンガ材t60ワトコオイル仕上げ テーブル/クルミ材t40ワトコオイル仕上げ |